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flight record

特に何ができるわけでもないが、飛行機が好き。 雑記を中心にした、いつまで経っても個人的興味の範疇を超えないブログ。

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『空港にて』 村上龍

 ふとしたきっかけで読み返してみた。文庫化されたときに買ったもので、冗長な地の分に苦労して読んだのをまだ覚えている。というのも、同じ手法で書かれた短編の連続ゆえに中だるみが発生する。一人称で主人公の視界に移る光景を捉え、その変化を精密に描写し、回想を織り交ぜながら進む、いわば超スローな話。『時間を凝縮した』との説明が裏表紙に付記されているが、まさにその通りではある。
 現代小説としての一つの在り方を提示した作品群ではあるものの、記憶に留めておくべきは表題作のみだろうか。これから飛行機に乗る人々・飛行機から降りた人々らが行き交う空港で、唯一動きのない主人公の女性。「取り残された」感を周囲との対比と回想で醸し出し、不安の渦中にいる様をよく描いている。それまでの七作品が主人公の漫然とした状況に一切変化のない話であっただけに、ラスト三行で一筋の希望――それも、とても温かい――を示したのは大成功だろう。

 あー、それにしても他の作品はいい感じにこちらを鬱の中に叩き込んでくれる。これから先の人生に意味もなく不安を感じてしまうではないか。

空港にて 空港にて
村上 龍 (2005/05)
文藝春秋

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